臨床心理学

【臨床心理士の】こんな状況じゃ開業もアリ…だけど1【惨状】

投稿日:

以下のデータは日本臨床心理士会が2006年2月に出した『第4回「臨床心理士の動向ならびに意識調査」報告書』(調査対象:日本臨床心理士会会員の臨床心理士10,076名 回収率43.3%(有効回答数4,377名))に基づいております。このデータは基本的には「部外秘」ということはないと思いますが、もしこうした形でネット上で公開することに問題があるということでしたらどうぞご指摘ください>皆様
さて、上記報告書の中に「本年度(2004年度)見込み年収(税込み)」というのがあります。それによると臨床心理士資格保持者の年収は…

100万未満 4.0%
100-200万 7.5%
200-300万 15.5%
300-400万 18.8%
400-500万 15.3%
500-600万 9.3%
600-700万 6.0%
700-800万 5.6%
800-900万 4.6%
900-1千万 3.5%
1千万以上 6.0%
未記入 3.9%
(開業の場合は必要経費は除く)

となっております。
最も多いのが300万円台。続いて200万円台、400万円台となりこの3群で回答者の約半数(49.6%)を占めています。
注目すべきは300万円以下の群。合計すると27.0%、約1/4のとなりますね。年収が300万(税込み)ってのは、手取り月平均20万を余裕で切りますよね。もちろんボーナス無しの計算です。
まあ実務経験年数は5年未満が24.1%、年齢にすると20代が16.1%で30代が36.8%ですから…っても、やっぱ10万円台ってのは厳しいでしょう。実家暮らしだったり、あるいは「旦那の稼ぎがあるから~」的な感じであればともかく、一人暮らしだったりすると自己研鑽に必要な言わば必要経費でもある研修費や学会費、書籍代などでほとんど消えてしまうのではないでしょうか?
で、勤務形態は…

常勤のみ 31.8%
常勤と非常勤 19.1%
非常勤のみ 45.5%
勤務していない 3.3%
未記入 0.3%

と半数近くが「非常勤のみ」。非常に不安定です。
多くの方はこのような現状をご存じでしょうけれども(そしてこのブログを読んでらっしゃる少なくない方がこの「現状」に該当するのでしょうけれども)、改めて見ても悲惨な数値です。
・・・・・・・・・・・・
さて、一昨日へなちょこ心理士さんのLIFE IS NOT ENOUGH. Shit!!!!からトラックバックいただきました。こちらのエントリです。
臨床心理士がお金儲けを考えることはいけないことか?(06/05/31)
いやいや。いけないことではないですよ。へなちょこ心理士さんは

怪しげではない形で何らかのビジネスモデルを構築していかないと、今後はお先真っ暗のように思えるのですよ。

とおっしゃっていますが、まさにその通りだと思います。
はっきり言ってあくどい儲け方をしようと思ったら、この商売はそれなりに儲かると思います。ただ、専門職としての倫理を守りながら真っ当にやっていくとなると…実はなかなか大変なのではないかと思いますよ。
もちろん能力のある方の開業は全然オッケーだと思います。しかし、その「能力がある」ってのが難しいところなのですが。
さいころじすと日記のtakashiさんなんかは、これまで何度か開業関連のエントリをアップされていますが、私もちょっと開業について考えるところがあるので、ちょっとシリーズ物で書いてみようかと思いますよ。
参考:
さいころじすと日記 [時事問題][心理学小話]開業って----(05/04/24)
ちなみに上記報告書によると、主たる勤務領域別の月収で「20万円未満」であると回答した者がもっとも多かった業種は「開業領域」だったりします。
こんな本もあります。

続く

参考になった!という方はクリックしてくださるとありがたいです→学問・科学ランキング

-臨床心理学

Copyright© ロテ職人の臨床心理学的Blog , 2024 All Rights Reserved.