先日、長女の歯科受診に付き合ったのですが、そこの待合室でせがまれて読んだ絵本。これがめちゃくちゃシュールでした。
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三枚のカード―日本昔話「三枚のお札」より (おはなしのたからばこ 8) 下谷 二助 フェリシモ出版 2009-09-20 |
民話「三枚のお札」を土台に、谷川俊太郎さんがパロディ化して作り出された新作。
「三枚のお札」は、和尚さんがくれたお札のおかげで、鬼婆から逃げきった小僧の話。お札のかわりにカードを携え、逆に鬼婆に会いたいと夜の街に出て行った少年は……。
絵は下谷二助さん。下谷さんの底力を発揮した作品といえるでしょう。公園のベンチで焼き栗を食べている女も変だし、ギターを爪弾きながら寂しい歌を歌う女も何か妙だ。少年が辟易している表情もどこかおかしい。
ページをめくる楽しさと驚き、どことなく不穏な気配に引きつけられていく絵本です。
確かに全編に渡って「不穏な気配」が漂っていた本でした。つか、あのラストは何だ?あれでホントに完結したのか?ひょっとして最後の方、ページ破れてたんじゃないか?と思わざるを得ないくらいシュールな話でした。
何せ歯医者の待合室で一回読んだだけですし、もう一度読んでみたら印象は違うのかもしれませんが、それにしても…
だって(若干のネタバレになってしまいますが)三枚のカードのうちの一枚が、ブラックカード(しかもアメックスだったような…)ですぜ。
ブラックカードは、クレジットカード会社が発行する最上位のグレードのクレジットカードの通称である。クレジットカード会社が発行するクレジットカードの内、最上位に位置するものの券面の色がブラック(黒)である場合が多い為、こう呼ばれるが、提携カードなどは必ずしも券面の色が黒であるとは限らない。
この時点で既に想定している読者がよくわからん…というか、明らかに大人向けの絵本なんですが子どもにとっても妙な魅力はあるだろうなとは思います。
確かにそういうコンセプトだってことは、シリーズのサイトにも書かれておりますですな。
「おはなしのたからばこ」って何?|おはなしのたからばこ広場|おはなしのたからばこ|フェリシモ
みなさんのよく知る物語が、現代作家とアーティストのコラボレーションによって30の新しい「ものがたり」として生まれかわりました。
『絵本』といえば、子どものもの”そんな価値観をなくしたい!と。それは『絵本』が、おとなはおとな、子どもは子ども、それぞれの感じ方ができるものということ。この『おはなしのたからばこ』全集は、おとなも子どもも楽しめる、懐かしくて新しい絵本なのです。
そんな感じであまりにも気になったので記事にしてみた次第でございました。