さて、超意外な本がランクインしてしまった2010年売れ筋ランキングの後半です。
昨日アップした前半を未読の方はまずはそちらから。
・2010年売れ筋ランキングTOP10 カウントダウン(前半)(11/01/04)
ではカウントダウン再開。ちぇけら。
第5位
女子アナ・吏良の海上自衛隊メンタルヘルス奮闘記 山下 吏良 講談社 2010-12-07 |
NHKキャスターから海自 ・臨 床心理士に大転身!
自殺や事故が頻発する海上自衛隊で、戦う男たちに寄り添う吏良1尉の24時間!
隊員の「うつ、心の病」のケアに奔走するメンタルヘルス最前線。【内容紹介】
海自の現実を白日の下に晒す本書は、「海上自衛隊にとって両刃の剣である」海上自衛隊といえども隊員の構成は日本社会の縮図。社会に若者の非行が蔓延すれば海上自衛隊でも非行が起こる。世間にうつ病や自殺が増えれば海上自衛隊でも増える。それどころか、自殺に関して言えば、不況にも強く壮健であるはずの海上自衛官の自殺発生率が、ときに成人男子の平均よりも高いというのはどうしたことだろうか? 海上自衛隊に特有の隠れた事故要因があるのか?私が著者を知ったのは舞鶴地方総監のときだが、「海上自衛隊にもこういう人材が求められて入ってくる時代になったのか……」と、複雑な感慨を持った――。
――海上自衛隊佐世保地方総監・加藤耕司(「あとがき」より要旨抜粋)
大穴キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
(このAA久々に使たよ)
当ブログでご紹介したのは昨年12月初旬なのですが、そこから驚異の追い上げで5位にランクインです。まさかこの本がくるとは…。
実は私は未読なのですが、多分、最近投稿されたであろうAmazonさんのカスタマーレビューでもやたらと高評価になってます。
何だこの現象は?
一方で、当該エントリのコメント欄ではこの本に関しての批判的コメントもいただいております。
著者は現役海上自衛隊の幹部であり臨床心理士として、隊員とのメンタルヘルス経験や自衛隊での勤務内容を本書にまとめているが、職務上(公務員・医療従事者)知りえた情報を外部へ公開してよいものだろうか?守秘義務違反ではないかと考える。
本書を読んでないので何とも言えませんが、通常はクライエントの許可を得て書かれているはずです。もしその許可を得ていないとしたらアウトです。その辺はいつか確認してみたいと思います。
わずか3年という短い隊内生活では、真の海上自衛隊を語るには力量不足である。結果、著者の言葉に信念は感じられず、浅はかな内容であった。低俗で下世話な内容が目立つ本書にわたくしは不快感を覚え、海上自衛隊のPR本としてはおろか、心理学書、カウンセリングの入門書としての社会的存在価値は、残念ながら見出せなかった。
というご意見もあるようですので、是非、確認してみたいと思います…と言ってしまうのは、結局この本の宣伝になっているわけで、コメントくださった方としては本意ではないかもしれないのですが…。
とにかく、意外な一冊がランクインしましたとさ。興味ある方はどぞー。
関連エントリ:
・山下吏良著『女子アナ・吏良の海上自衛隊メンタルヘルス奮闘記』(10/12/08)
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第3位が同数で2点です。
第3位
子どもの心と学校臨床(第1巻)特集:学校でうまくゆく心理アプローチと考え方 村山正治 窪田由紀 中釜洋子 神村栄一 黒沢幸子 冨永良喜 祖父江典人 高石浩一 諸富祥彦 辻井正次 岩宮恵子 滝口俊子 吉川 悟 東 千冬 森岡正芳 長沼葉月 遠見書房 2009-08-20 |
多岐にわたる問題を抱える学校を臨床実践によって変えていく スクールカウンセラーと教職員のための雑誌 スクールカウンセラー(SC)事業は,公教育の現場に外部の専門家(臨床心理士)を投入するという画期的な事業であった。初年度(平成7年度)の154校の中学校に派遣されたSCたちは,現場から高い評価を受けて,平成18年度には全公立中学校に,平成20年度からは小学校に派遣されるまで発展してきた。しかし,昨今の公教育への予算削減を受け,SC事業への配分も減少している。ゆとり教育からの転換,社会状況の急速な変化から生みだされる不登校,いじめ,虐待,教師のうつ病などによる休職者の増大など,事態は深刻になっているのにもかかわらずである。 こうした状況の中で,子どもと学校が元気になるための学校臨床の発展を願って登場したのが本誌である。スクールソーシャルワーカーや各地独自の援助職・ボランティアの導入など,学校臨床においては他の専門職が協力するコラボの時代にある。裏を返せば,学校臨床というものの考え方を集約する「器」が必要である。子どもや保護者,教員,地域住民までをも含む学校コミュニティに援助者としてどうかかわるのか。これまでの実績を評価し,原点を見直し,学校現場の最前線に向け,新しい視点や大切な情報を提供するのが本誌の使命である。SC,スクールソーシャルワーカー,相談員,教師,養護教諭,教育行政関係者などが共同して子どもや家族の課題に取り組んでいけるよう知恵を絞っていくつもりである。是非,読者の皆さんに雑誌づくりに参加していただければと思う。(本誌編集同人代表 村山正治「創刊にあたって」より抜粋)
6位に入った第2巻とともに、第1巻もランクイン。昨年のTOP10入りもあってか、年間通して結構出てました。
前にも書きましたが、とにかく学校臨床に携わる人なら要チェックかと思います。
関連エントリ:
・『子どもの心と学校臨床』創刊号 特集:学校でうまくゆく心理アプローチと考え方(09/08/14)
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第3位
そだちの科学 no.13―おとなの発達障害
日本評論社 2009-10 |
自閉症、アスペルガー障害、ADHD、LDなどの発達障害が見すごされたまま成人し、不適応に悩む人たちに対する診断と支援を考える。
やはり今年も熱かった「発達障害関連本」。その中でも昨年第9位にランクインしたこちらがさらにランクアップ。
やっぱり興味のある人…というか、興味を持たざるを得ない人は多いですよね。
はい。私もその一人なので、精進したいと思います。
関連エントリ:
・そだちの科学 no.13 特集:おとなの発達障害(09/11/02)
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第2位
エッセンシャルズ 心理アセスメントレポートの書き方 エリザベス・O. リヒテンバーガー ネイディーン・L. カウフマン アラン・S. カウフマン ナンシー マザー Elizabeth O. Lichtenberger 日本文化科学社 2008-10 |
よい心理アセスメントレポートは,検査によって得られた結果,背景情報,行動観察などの情報をもとに子どもの状態を説明し,今後の指針を分かりやすく示すものでなくてはならない。本書は,心理アセスメントレポートの書き方を簡潔で分かりやすく説明する。心理アセスメントレポートを書く初心者,臨床心理学を学ぶ学生や大学院生,そして,アセスメントレポートを読んで理解する必要のある専門家向けの入門書である。
はい。やっぱりアセスメント系強し。
まあ病院臨床に携わるなら必携でしょうね。特に初学者は。
それ以上、特にコメントすることもなしという感じ。読んでください。
関連エントリ:
【感想…というか】『エッセンシャルズ 心理アセスメントレポートの書き方』その3【ツッコミ?】(09/03/16)
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そして1位は…
第1位
精神科臨床における心理アセスメント入門 津川 律子 金剛出版 2009-06-19 |
チェックリストでもラベリングでもない「心理アセスメントの六つの視点」を,第七の視点(here and now)で有機的につなげ,クライエントの立体的な全体像をとらえるために――若手臨床心理士に贈る「心理アセスメント入門」必携書。
心理アセスメントの六つの視点(トリアージ1・トリアージ2・病態水準にまつわる要素・疾患にまつわる要素・パーソナリティ・発達生活の実際)から得られたものは,第七の視点(here and now)を通じて集約され,ネットワークのようにつながりながら立体的に存在する。臨床心理面接と不可分な“それ”は“家”のイメージであり,アセスメントから得られた成果をヒントにクライエントの全体像を立体化してゆく内的努力を,セラピストは学派を越えて行なっている。この“家”(=心理アセスメントにおける六つの視点を通じて成っている立体的な像=臨床心理学から見たその人の全体像)のなかでクライエントとセラピストが共生するイメージ――それこそが,真の心理アセスメントである。
アセスメント系のワンツーフィニッシュでした(…と言っても、かなり毛色の異なる2冊ですが)。
はい。良書です。いまさらそれ以上の言葉はありません(手抜きコメントじゃないつもり)。
関連エントリ:
・津川律子著『精神科臨床における心理アセスメント入門』(09/07/23)
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今年も懲りずに本の紹介などしていけたらと思ってます(その他の系統の記事も色々書きたいことはあるんですけどねー。なかなかねー)。
少しでも皆様のお役に立てたらとも思っているのですが…どうでしょ?
昨年も同じことを言ってますが、今年も「自分で読んで『よかった』と思える本」を探していきたいと思います。
どうぞ今年もよろしくお願いします。
皆様のおすすめもありましたら教えてくださいませ。