ついに可決成立しました。
病院や学校でカウンセリングや心理的なケアを行う人材の確保につなげるため、新たに「公認心理師」という国家資格を設ける法律が、9日の参議院本会議で全会一致で可決され、成立しました。
この法律は、社会で心のケアの重要性が増すなか、心理学に関する専門的な知識と技術を持った質の高い人材の確保につなげるため、新たに「公認心理師」という国家資格を設けることを目的としています。
「公認心理師」は、国家試験で認定し、受験資格は大学で心理学などを修めたうえで、卒業後、大学院で必要な課程を修了した人や、一定期間の実務経験を積んだ人などに与えるとしていて、国家資格の獲得後、病院や学校などでカウンセリングを行ったり、心理的なケアに当たったりすることが期待されています。法律は9日の参議院本会議で採決が行われ、全会一致で可決され、成立しました。
「公認心理師」の国家試験は、早ければ平成30年から始まります。
本法律に関わった政治家の方々、そして心理専門職を含む関係者の皆様、本当にお疲れさまでした。
繰り返しになりますが、現時点でこの公認心理師法の最も注目すべき点は、附帯決議なのではないかと思いますよ。
全文コピペしちゃうよ。
今日、心の問題は、国民の生活に関わる重要な問題となっており、学校、医療機関、福祉機関、司法・矯正機関、警察、自衛隊、その他企業をはじめとする様々な職場における心理専門職の活用の促進は、喫緊の課題となっている。しかしながら、我が国においては、心理専門職の国家資格がなく、国民が安心して心理的な支援を利用できるようにするため、国家資格によって裏付けられた一定の資質を備えた専門職が必要とされてきた。
今般、関係者の長年にわたる努力もあり、「公認心理師」という名称で、他の専門職と連携しながら、心のケアを必要とする者に対して、心理的な支援を行う国家資格を創設する法律案を起草する運びとなったところである。政府は、公認心理師法の施行及び心理専門職の活用の促進に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。
一 臨床心理士をはじめとする既存の心理専門職及びそれらの資格の関係者がこれまで培ってきた社会的な信用と実績を尊重し、心理に関する支援を要する者等に不安や混乱を生じさせないように配慮すること。
二 公認心理師が臨床心理学をはじめとする専門的な知識・技術を有した資格となるよう、公認心理師試験の受験資格を得るために必要な大学及び大学院における履修科目や試験の内容を定めること。
三 公認心理師法の施行については、文部科学省及び厚生労働省は、互いに連携し、十分協議した上で進めること。また、文部科学省及び厚生労働省を除く各省庁は、同法の施行に関し必要な協力を行うこと。
四 受験資格については、同法第七条第一号の大学卒業及び大学院課程修了者を基本とし、同条第二号及び第三号の受験資格は、第一号の者と同等以上の知識・経験を有する者に与えることとなるよう、第二号の省令を定めるとともに、第三号の認定を行うこと。
五 公認心理師が業務を行うに当たり、心理に関する支援を要する者に主治医がある場合に、その指示を受ける義務を規定する同法第四十二条第二項の運用については、公認心理師の専門性や自立性を損なうことのないよう省令等を定めることにより運用基準を明らかにし、公認心理師の業務が円滑に行われるよう配慮すること。
六 同法附則第五条の規定による施行後五年を経過した場合における検討を行うに当たっては、保健医療、福祉、教育等を提供する者その他の関係者との連携等の在り方についても検討を加えること。
右決議する。
つまるところ、まだまだ具体的な中身に関して検討せねばならない事項は山ほどあるってことなわけですけれども、この附帯決議があったことで反対派の皆様にもある程度は受け入れられたということがあるんじゃないかと思います…
…反対派の皆様は、きっと自分達の貢献のおかげでこの附帯決議がなされたとおっしゃるのでしょうけれども。確かに、それはそれで事実なのかもしれません。
とにかく、大枠が決まっただけのことであり、これからまた色んな綱引きがなされることでしょう。経緯を見守っていくことは必須であると思われます。
最後に繰り返しになりますが、関係者の皆様、本当にお疲れさまでした。今後もよろしくお願いいたします。