臨床心理学

【一番】こんな状況じゃ開業もアリ…だけど3【怖いパターンは】

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エセカウンセラーの皆様はネット上で臨床心理士資格保持者を叩くのがお好きなようです。てか、そういう人もいます。曰く「臨床心理士が必ずしも優れた臨床家ではない」とか…。ええ、全くその通りでございます。だからと言って「だから臨床心理士をとる必要はない」「臨床心理士の資格なんてとっても意味がない」とはならないはずなんですがね。
で、「それなりに能力があるなら取れる(取れた)んじゃないですか?」と尋ねると、「そんな時間があるなら一人でも多くの人を助けたい」などと馬鹿げたことを言ったりするわけで。「お前は研究とか研修とか自己研鑽ってものを何だと思っているのだ?」と小一時間問いつめたくなったりします。
で、エセカウンセラーに限らず、臨床心理士を持っている人の中にもこういう人、いるんじゃないかと思うんですよ。自分の臨床能力をわかっていない(あるいは理解しようとしない、理解したくない)人が。
そして一番怖いパターンはそういう人が開業することだと思うのですよね。


スクールカウンセラーって基本的に一人職場が多いじゃないですか。SCのレベルが低いことの原因の一つとして確実に「一人職場であること」が挙げられると思います。修士課程修了直後にスクールカウンセラーなんかやったりすると(自分でスーパーヴァイザーを探したりしない限りは)、同業者からのチェック機能が働かないまま何年か過ぎていったり。
で、グループでやるとかじゃないかぎり、開業ってのはある意味究極の一人職場なわけじゃないですか。
フリーランスで色んなところに出ていって自分の能力を切り売りしていく…ってならまだ外部からのチェックは働くかもしれませんが、自分の能力を過信した自己愛的な初心者が突然開業なんてした日には、目も当てられないことになることうけあいですよ。
それで失敗するのはそりゃあ「自己責任」ってことで知ったこっちゃないのですが、その犠牲になるクライエントは悲惨です
ここで再びtakashiさんの書かれたさいころじすと日記 - 開業って----より引用。

それから、他の機関での臨床経験などの条件を課すのも個人的には愚かな発想としか言いようが無い。臨床心理士になったのであれば、基本的に何をしようと自由だ。とってすぐの人が開業したってかまわない。医師がそうであるように。

そらーそうなんですけど、医師の場合はシステマティックに確立された研修医制度ってのがあって、基本的に医師国家資格を取得してすぐに開業するなんてあり得ませんわな。まともな卒後研修の制度が確立されていない心理職の場合はなおさら「とってすぐの人が開業」ってのは危ないですよ。

ただ、「自己責任をきっちりとる」ことと、「他の心理士に迷惑をかけない」ということをしっかり了解していればいいことである。

それよりも何よりも「クライエントに迷惑をかけないこと」が一番なんじゃないですかね?それを避けるために、安易な開業は職業団体として規制する必要もあるのではないかと思いますよ。「クライエントに迷惑をかける開業臨床家」が増えると、結局それは同業者の不利益となって返ってくる可能性もあるわけですし。

それを年寄り連中が「経験年数」で規制するのは、ただの老害だ。「経験年数が多いほど臨床心理士として実力がある」なんてものは傲慢な妄想だ。ただのドグマである。それとも、開業臨床は、「病院臨床や学校臨床よりも崇高なものがある」とでも言いたいのだろうか。

全ての臨床心理士が自分の能力に関するアセスメントをできる人であれば問題なんですけど、現実はそうじゃないですよね。皆さんの周りにもいませんか?ろくに実力もない(ことはバレバレな)のに、やたらと自己愛的な発言の多い臨床心理士。「そういうのが開業するのも自由だ」とは到底言えないです。私は。
くり返しになりますが、そういう輩が勝手に失敗するのはかまわないのですが、何よりもクライエントに迷惑をかけないで欲しい…ってことはやっぱり開業して欲しくはないってことにならざるを得ないのです。
で、「開業臨床は病院臨床や学校臨床よりも崇高なものがある」とは言いませんが、少なくとも「開業臨床は病院臨床や学校臨床よりも難しいところはある」ってのは言えると思いますよ。
その一つが「経営」と「臨床家としての倫理」だったり「アイデンティティ」だったりの両立ってことではないかと思います。
長くなりましたのでまた次回。
ついでに興味のある方もいらっしゃるようなので、またこれ↓貼っておきます。

さらに続く。

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