「現在進行中の国家資格問題について」
昨日、日本臨床心理士会のサイトに「現在進行中の国家資格問題について」という文章がアップされました。
・現在進行中の国家資格問題について(一般社団法人 日本臨床心理士会)(※PDF注意)
元々は千葉県臨床心理士会のニュースレター(No.3 2013年12月20日)に掲載されたものだそうで、書かれたのは同会監事の飛田野剛氏とのこと。
資格法制化を考える上で非常に参考になるので、千葉県臨床心理士会のご了解を得てここに掲載します。
という但し書きを見る限り、臨床心理士会もこれと同意見であるということなのでしょう。
詳しくない人にとってはなかなか良い文章
こちらの文章。心理職の国家資格創設の問題について、これまで関心がなかった、あるいは知らなかったという人にとってはなかなか良い文章なのではないかと思います。
特に「国家資格につなげる一歩としての臨床心理士資格成立の過程」や「診療補助職問題」について、わかりやすく書かれているところが良いです。
私個人の意見もこちらにかなり近いかと思うのですが…一点だけ「ここはツッコみたい」というところがあります。
それはなにかと言いますと…
ソースは?
少し本文から引用させていただきます。
認定協会を中心とする方たちは、現在の臨床心理士資格がほとんど国家資格のようなものだという空想的な観念を持つに至ったように見えます。
臨床心理士をそのまま国家資格にする以外の国家資格の創設は、せっかくここまで来たものを後退させるものと写るようです。
この背景には、国民主権の法治国家というものに対する理解の欠如があるのだろうと私は見ています。
その方たちは、自分たちの希望どおりになるように約束せよと迫るのが常のパターンです
今の国家資格化の動きに警戒感を持っている方たちの発言を聞いていると、臨床心理士の資格について家元制度の免状のような感覚を持っているような気がします。
認定協会は(中略)ここ数年の動きを見ていると、現実を認識して方向転換するというのは難しそうな印象です。
そのように判断されたソースは何なんでしょうか?
あ、ソースって言っても料理に使うソース(sause)ではないですよ。「出所」「出典」を意味するソース(sourse)ですよ。
「認定協会を中心とする方たち」って誰?
例えば、本文で名指しされている臨床心理士資格認定協会のサイトを見てみましょうか。
実は国家資格創設に関する情報は、少なくともサイト上には全くと言っていいほど見当たらないのです。
では「認定協会を中心とする方たち」とは一体誰のことを言っているのでしょうか?
少し事情を知っている人であれば、例えば日本臨床心理士養成大学院協議会のサイト内で、会報のバックナンバーを見たりすると、そういった情報が掲載されているということがわかるでしょう。
・日本臨床心理士養成大学院協議会報 第18号(第10巻第1号) 2013年(平成25年)9月30日(※PDF注意)
あるいは最近、今月の20日、新潟県臨床心理士会のサイトにアップされた、鳥取県臨床心理士会会長による「臨床心理職(心理職)の資格法制化(国家資格化)についての要望書の送付について」という文章(「について」がくどい)なんかもそんな感じでしょうかね。
・臨床心理職(心理職)の資格法制化(国家資格化)についての要望書の送付について
ソースを示す必要がないならそれこそ「言いたい放題」
ソースについて明言してしまうと、特定個人や特定団体に対する批判となり、不必要な騒動(場合によっては炎上騒ぎにもなりかねないような)を引き起こすかもしれない…という危惧はわからないでもありません。
しかし今回アップされた文章は、元々、千葉県臨床心理士会の中で国家資格創設の問題に詳しくない会員に向けて書かれた文章なわけですよね。だとすれば、どこの誰がそういうことを言っているのかということはやはり明確に示しておく必要があるのではないでしょうか?おこなっているのは、あくまでも意見や考え方に対する批判であり、特定の個人・団体そのものに対する非難や攻撃ではないわけですから(…そうですよね?と念のため確認してみる)。
もしソースを示さずに何か主張できるのだとしら、「言いたい放題」になっちゃいますよね。好き放題言った後に「それは何に対して、誰に対して言ってるの?」と説明を求められて、「それは言えません」で逃げることが出来るなら何でも言えちゃいますよ。
あるいは、暗に批判された個人・団体が「それはそちらがそう思い込んでるだけじゃないか!」「こちらはそんなことは言ってない!」と反論してきた時、「いえいえ。あなた方のことを言ってるわけではないですよ〜」と逃げを打てるようにしている、あるいはそもそも反論できないように先手を打っているのであれば、それは極めて卑怯な行為です。
場合によって日本臨床心理士会がフォローすべき
「現在進行中の国家資格問題について」という文章が書かれた際、日本臨床心理士会のサイトにアップされるなんてことは想定していなかったとしても、やはり最低限のソースは示すべきです。本当は、そのソース、参考文献は論文等であるのが望ましいですが、ニュースレターなのでウェブページのURLでもいいじゃないですか。
そして、日本臨床心理士会がその責任において自団体のサイトにアップするのであれば、注釈等を入れる余地もあったはずです。それをしなかったことは、日本臨床心理士会が上記のような「逃げを打てるようにしている」「先手を打っている」と思われても仕方がないでしょう。
せっかく分かりやすくまとまっている文章なだけに、そのソースが示されていないことで私としては「台無し」になってしまった感があります。
…そういう批判の余地を残してしまうあたり、脇が甘いなあと思ってしまうのはワタクシだけでしょうか?
誰か、今からでも担当の方に一言お伝えいただけないでしょうかね。「ソースきぼんぬ」(超久しぶりに使ってみた)と。
…え?お前が言えばいいだろうって?
嫌です。これ以上リアルでこの問題に首を突っ込みたくないので。
そんなわけで、100%他力本願でお送りいたしました。See you tomorrow!