心理・精神医学本

『あたらしいこころの国家資格「公認心理師」になるには ’16~’17年版』の著者、浅井伸彦氏はどうすべきだったのか? その1

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あたらしいこころの国家資格「公認心理師」になるには '16~'17年版

よーやく更新ができるようになりました。長かったー。

ということで、ずっと棚上げになっていたこちらの本の感想です。

過去ログを未読の方はまずはそちらから。

浅井伸彦 著『あたらしいこころの国家資格「公認心理師」になるには ’16~’17年版』を読んでもいないのに批評してみる(16/02/22)
『あたらしいこころの国家資格「公認心理師」になるには ’16~’17年版』を読む前に著者の浅井伸彦氏からのメッセージに返信してみる @IPSA_psychology(16/03/03)

そして、Twitterの方では既にご紹介させていただきましたが、本件に関連しまして神奈川大学の杉山崇氏がコメントを出されております。こちらも必読です。

公認心理師の受験資格や経過措置ってもう決まったの?【Reme's News】Reme(リミー)
ご注意!心の国家資格「公認心理師」は細目未定ですアゴラ 言論プラットフォーム

私が言いたかったことはほぼ杉山氏に言っていただいている気もします。おっしゃっているところをざっくりまとめると「公認心理師資格の細目は未定であり、現時点で取得対策を謳っている個人・団体には注意しましょう」ということだと思います。これにはワタクシも全面的に同意いたします。

おそらくこの杉山氏のコメントを受けてだと思いますが、著者でありMEDI心理カウンセリング大阪IPSA臨床心理士大学院予備校を運営する浅井伸彦氏は自身のカウンセリングルームのサイトにて「法人代表の私的見解」を発表しております。

「公認心理師」国家資格に関する私的見解MEDI心理カウンセリング大阪

皆様、こちらも是非お読みくださいませ。

その上で本エントリでは『あたらしいこころの国家資格「公認心理師」になるには `16~`17年版』の感想を踏まえ、著者である浅井伸彦氏はどう動くべきだったのかについて考えてみたいと思います。

本書についてまずは褒めてみよう

この本、褒めるべきというかすごい点が一つだけあります。

それは「とにかく早い段階で刊行した」ということです。

公認心理師法の成立が2016年9月9日、公布が同年9月16日。そして、この本のアマゾンさんでの発売日は2月25日。

この手の本の出版・刊行までに平均でどれくらいの日数がかかるのかはわかりませんが、5ヶ月強で160ページを超える単行本を単著で出版するというのはかなりのハイスピードなのではないかと思います。

逆にいえば、これ以上褒めることはありません。

基本的には16/02/22のエントリで読んでもいないのに批評してみるのとほとんど感想は変わらないです。全くもって予想通りでした。

あのエントリを読んでその上でご恵贈くださったというのは、やはりものすごい強心臓な著者と編集者の方々だなあと思った次第。それともこういう感想が出ることを予想しなかったのでしょうか?まさかそこまでアレじゃないですよね?

「公認心理師の情報が、全て出揃わないうちに刊行すること」の弊害

さて、上でも取り上げました浅井伸彦氏による「「公認心理師」国家資格に関する私的見解」では、執筆にあたって以下のような葛藤があったと述べられております。

A1.公認心理師の情報が、全て出揃わないうちに刊行することの是非
A2.公認心理師という国家資格に関する本を、自分のような立場で刊行することの是非
A3.「先行者利益」と言われ、主に金銭的なメリットでの刊行と思われる可能性

正直、あの文章を読んでもこれらの葛藤や問題点をどうクリアして刊行に至ったかが私にはわからなかったのですが、とりあえず「A1.公認心理師の情報が、全て出揃わないうちに刊行することの是非」については「B1.公認心理師に関する情報を十分に拾えていない方へのダイジェストとして」というメリットがあったという理解でいいんですかね?

この辺りに関連しているのが本書の「第3章 公認心理師になるまでの道のり 〜私の場合、これからどうすればいいの?現在の属性別「公認心理師」の取得の仕方〜」だと思います。出版社の紹介ページに目次が載っておりますのでそちらをご覧ください。現在(=2016年2月〜2016年3月)、小中学生の方から社会人の方まで、それぞれの立場の人がどのような道のりで公認心理師資格を取得できるのかが述べられております。

この部分がこの本の「唯一のオリジナルコンテンツ」と言っていいかと思います。他の部分はほとんどネットの情報のコピペでいけそうな感じです。

で、この第3章、「〜なりそうです」「〜と考えられます」「〜と思われます」「〜になる可能性が非常に高いと言えます」「〜があるかもしれません」といったような断定を避ける表現ばかりです。そりゃあそうですよね。細かいことは決まってないし公表されてもいないんだから、断定できるはずがありません。

しかし、これは「公認心理師に関する情報を十分に拾えていない方へのダイジェスト」としてどうなんでしょうか?現時点で「情報を十分に拾えていない方」が、本書を読んで逆に誤解をしてしまう可能性は考慮しなかったのでしょうかね?

それって単なる「集客目的」では?

おそらく本書の6ページにあるのが、本書を読んで誤解してしまうような方への対策なのでしょう。

今後、どのように国家資格に関する決定がなされていくかは、常に動向を追っていかねばわかりません。本書に掲載の情報以後に出された情報については、以下のサイトでお知らせしていきたいと考えております。ぜひご参照のほど、よろしくお願い致します。

MEDI心理臨床ポータルサイト内コンテンツ「公認心理師になるには」参照
http://cp-information.com

上記リンク先に飛ぶと、浅井氏の運営している予備校のバナーや浅井氏の著書のバナーやGoogle Adsenseの広告が貼ってあったりするわけです。

これが「集客目的」じゃないとしたら何なんでしょうか?

そして現時点で「公認心理師に関する情報を十分に拾えていない方」は、今後、定期的にそちらのページにアクセスして情報をアップデートし続けることができるのでしょうか?それができないから現時点での情報を十分に拾えていないのではないかと私には思えるのですが…

そうやって情報を拾いきれない人を浅井氏は「自己責任」で切り捨てちゃうんですかね?そうだとしたら「B1.公認心理師に関する情報を十分に拾えていない方へのダイジェストとして」というお題目が空疎な言葉にしか聞こえなくなってしまいます。

長くなりそうなので続きはまた今度

当初の予定ではサクッと書いて、こんなに長くなるはずではなかったのです。

まだまだ色々出てくる感じなので、とりあえず本日はここまで。

皆様のご意見もお待ちしております。

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