資格問題

公認心理師の受験資格が学部卒でもOKならそちらにみんな流れるってホント?

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新・臨床心理士になるために 平成26年版

昨日のエントリ、それは公認心理師法案に対する当該都道府県臨床心理士会会員の「総意」なのですか?に続き、「公認心理師法案にまつわる素朴な疑問シリーズ」第2弾です。

シリーズ名は今、適当につけました。

このブログを読まれる方の中には「そんな程度の低い疑問を呈するのではなく、法案に対する深い考察をすべきだ」と言われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、それは私には無理です。なぜならその能力がないから。

その辺りを求めてらっしゃる方は、「公認心理師」成立を応援するブログ公認心理師法案コンメンタール風シリーズをお読み下さい。

さて、公認心理師法案の中で第42条の2「業務を行うに当たって、主治の医師があるときは、その指示を受けなければならない」とともに、もっとも批判を浴びているのが第7条の2「学部を卒業したのちに、省令で定める施設において省令で定める期間以上業務に従事したもの」にも受験資格を与えるという規定でしょう。

批判の多くは「学部卒も可となることで、専門家としての質が低下する」ということかと思います。そして、その背景にあるのは「学部卒も可ならば、わざわざ大学院まで行かなくなるのは当然」「公認心理師が学部卒で取得できるならば、わざわざ修士課程修了をしてまで臨床心理士を取得する学生が少なくなるのは当然」ということなのでしょう。

しかし、本当にそれは「当然」の話なのでしょうか?

このブログを読んでらっしゃる皆さん、特に、現在臨床心理士資格を保持し、臨床現場で働いてらっしゃる方々、そして臨床心理士指定大学院に所属されている学生さん達。ご自分の胸に手を当てて考えてみてください。

今から数年後、公認心理師法案が成立・施行され、そして同時に臨床心理士資格も存続しているとしましょう。そして、皆さんは心理臨床家を目指してこれから大学受験に臨む高校生です。

皆さんは「楽だから」という理由で、学部卒での公認心理師取得を目指すのですか?

多分、そうじゃないと思うのです。

今現在、心理臨床家として働いている方の多くは、ベテランであっても若手であっても、それぞれ臨床の質を向上させていく必要性を感じているでしょうし、実際に様々な研修などに参加して研鑽を積んでいるはずです。

もちろんそうじゃない方もいると思いますが、自ら研鑽を積もうとしない臨床心理士というのは、恐らくまともには働けていないことでしょう(それはもちろん「自ら研鑽を積んでいる臨床心理士なら、皆まともに働けている」ということとイコールではありません)。

現在、学生の立場にいる方も同様でしょう。この仕事を続けるためには一生勉強し続ける必要があることは既にわかっていると思います。

そんな皆さんは「その方が楽だから学部卒で取得できる公認心理師が良い」とは思いませんよね?

さて、ではなぜ「学部卒でOKということになれば、みんなそちらに流れる」と思うのですか?それが「当然」だと言われるのは何故ですか?

皆さんは「本当は学部卒が良かったんだけど、資格が取れないから“仕方なく”」修士課程まで進学されたのですか?違うでしょう。

そんな方々が「みんな学部卒に流れるはず」「それが当然」と考えるのは何故でしょう?意味がわかりません。

私は「学部教育をどうするか」が大きな鍵になると思います。学部生の段階で「心理臨床家の仕事は一生勉強し続けることが必要」であることを周知し、そして修士課程で学び、研究することの重要性を示すことさえ出来れば、「修士修了」をスタンダードにするのは可能なはずです。

そして、「公認心理師は修士修了がスタンダード」になりさえすれば、臨床心理士を存続させる必要はないです。ただ、そうした体制が確立するまでは、臨床心理士資格の存在は必要だと思います。というか、それまでは臨床心理士資格は死守せねばなりません。

さて皆さん、もう一度考えてください。

「公認心理師の受験資格が学部卒でもOKなら、そちらにみんな流れる」ってホントですか?

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