資格問題

今、私が考える超現実的な心理師(仮称)資格その2─むしろ「役に立たない資格」にすべき

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役立たず

昨日のエントリ、今、私が考える超現実的な心理師(仮称)資格その1─求められる「専門性」とは?の続きです。

国資格としての心理師(仮称)に関連する団体に共通する専門性を考えると、そこには恐らく「心理学」ということくらいしか残らないだろうということを昨日は述べました。

心理職の国資格創設の問題において、多くの方が問題としているのが「果たして臨床心理職としての専門性は保たれるのか?」ということです。しかし、その考え方がそもそも間違っているのではないかと私は思います。

いっそのこと、心理師(仮称)は「大学(または大学院)で心理学を修めた」ということを証明するという、いわば日本心理学会が認定する認定心理士臨床心理士と間違われがちですが、全く別の資格です)と同じような位置づけの資格にしてしまえばいいんじゃないでしょうか。

そして試験内容は、昨日パンフレットを引用しました日本心理学諸学会連合(日心連)が行う心理学検定と同等くらいの難易度にするのがいいと思います。

…というか、心理学検定のサイトにはこう書かれております。

日心連は、49の心理学関係の学会が加盟する団体で、日本における心理学ワールドの統合と発展を目指して、平成11年より活動を続けております(http://jupa.jp/)。 そのひとつの活動の柱として、心理学関連学会等の認定する資格が20弱ある現状に鑑み、その統一について検討しておりますが、まずは基礎資格として大学学部卒レベルの資格試験制度を制定いたしました。

ここで述べられている「資格が20弱ある現状に鑑み、その統一について検討」というのは、まさに国資格としての心理師(仮称)のことでしょう。そして、「基礎資格」「大学学部卒レベル」とありますが、そこにはやはり臨床心理学的な専門性は存在し得ません。

「そんな資格は役に立たない!」とおっしゃる方もいらっしゃることと思います。

はい。そうです。役に立ちません

認定心理士の資格を持っていても、あるいは心理学検定に合格しても、それは単に「学部卒レベルの心理学的な知識を持っている」ことの証明にしかならないのですから。

でも私は、役に立たなくてもいい…いや、役に立たない方がむしろいいとも思っています。少なくとも心理師(仮称)資格自体は。

もし本当に「役に立つ」というレベルでの「臨床心理学的な専門性」を求めるのであれば、これまで述べてきたように修士レベルでは到底足りません。

7ねんまえにぼくがかんがえたさいきょうのりんしょうしんりしようせいかてい(13/10/16)
7年前に私が考えた理想の臨床心理士養成課程(13/10/21)

このブログを読んでらっしゃる皆さんも、ご自身が修士課程を修了した時点でのことを思い返してみてください。本当に「役に立つ」臨床家になってましたか?

ひょっとしたら修士課程の2年間で、ある程度「役に立つ」レベルの「臨床心理学的な専門性」を身につけることができていた人もいるかもしれませんが、それは例外的に能力の高い人でしょう。

少なくともそんな例外的な人を選別するような資格試験制度なんて、国資格の制度としてはなじみません。

また上記過去ログで私が述べたような養成課程は、私が現行の臨床心理士資格の改善案として考えたものであり、研修も含めた養成期間の長さを考えると国資格の制度としては非現実的だと思います。

国資格としての心理師(仮称)に中途半端な専門性を持たせて「心理学の専門家でござい」と言わせるんだったら、それ自体は「役に立たない」資格にしておいて「それだけ持っていても何の役にも立たない資格である」ことを世間にしっかりと知ってもらった方が、役に立たない臨床心理職を世に放つことがないという意味でよほど好ましいと思いますし、非常に現実的(そう、超現実的)です。

…という主張をすると「じゃあ、臨床心理職としての専門性はどうなるんだ?」というツッコミが殺到することと思います。

「資格取得者の自助努力に頼るのか?」とか「神の見えざる手によって役に立たない臨床家は淘汰され得るのか?」といったようなことを思われた方もいらっしゃるでしょう。

それに対する回答は…

…また長くなりそうなので、続きは次回に(引っ張ってすみません)。

実は昨日、Twitterでこの辺について思わずネタばらしをしてしまったのですが、語りきれていない部分も多かったので、次回こそは「臨床心理職の専門性」はどう担保するのか?について述べたいと思います…述べられるはずです。多分。

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